アプローチの法則

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 詰将棋パラダイスの、当時の「幼稚園」(5手詰以下)のコーナーに出題されたのが本作。「接近(アプローチ)」というタイトルをつけた。まあ、このタイトルについては、ここではことさら言及しないことにする。
 双玉というあたりがちょっと変わっているかも知れないが、そう難しくはない。いったい何が狙いだと思われるだろうか。それは「最後の3手で完全限定合が出る」ということである。
 ここで「完全収束型」の概念について説明する必要があろう。完全収束型とは私が提唱した概念であり、目下まったく普及していない。一言でいえば「手順が完全に限定されている3手詰」のことである。これではちょっと不親切なので、もうちょっと詳しく書くことにする。
 3手詰は、限定の初手があって、それに何通りかの玉方応手があり、それに対応する最終手がある。このうち、攻方の持駒が余らない手順が正解となる。しかし一般には、複数の玉方応手で持駒が余らなかったり(変化同手数駒余らず)、持駒が余る変化手順においても持駒が余らない最終手がある(変化別詰)という場合が多い。
 完全収束型を正確に書くと:

  1. 初手は完全限定(厳密に一通りに限られる)
  2. 作意手順(正解手順)となる玉方応手も完全限定
  3. 作意手順の最終手も完全限定
  4. 作意手順以外の玉方応手では、駒を余らせずに詰めることができない

ということになる。
 ここで「完全収束型の玉方応手に『完全限定の打合』は可能であるか」という命題を与えたとする。このとき、この「アプローチ」がその解答であり、しかもこれ以外の構図(正確には、本図の双方の玉、攻方龍、玉方の質駒の位置関係)では完全限定打合を実現することはできない(ちなみに「完全限定打合」の言葉は、厳密には玉方が7種類の持駒のどれも任意に打つことが可能である場合に用いるが、本図では仮に3枚目の飛が玉方の持駒に存在していても飛合をすることはできない。学術的見地からは、この欠点を解消すべきであったとは思う)。
 証明は言葉で書けば長いが、考え方は容易であるので省略する。要するに、「自身の周囲8マスのうち特定のマスへ効きのない駒が1種類しかないというケースは、将棋の駒セットの中にはない」「2種類というのも角桂(直前への効き)に限られる」「2種類であれば、『逆王手』『質駒へのヒモつけ』という形に仕分けできる」「3種類では仕分けできない」ということを厳密に記述すればよい。